
警備業を始めようと調べていると、
「仕事は受けたけど、人手が足りないので他社に再委託してもいいの?」
という相談を非常によく受けます。
結論から言うと、警備業務の再委託自体は法律上可能です。
ただし、やり方を間違えると警備業法違反(無認定営業)になるリスクが非常に高く、実務上はかなり注意が必要な分野です。
この記事では、警備業専門の行政書士として、再委託に関する実務上の重要ポイントをわかりやすく解説します。
再委託でも「警備業認定」は必須|ない場合は無認定営業
まず最も重要なポイントです。
再委託であっても、実際に警備員を出す会社は警備業認定が必須です。
たとえば、
A社(元請・警備業認定あり) → B社(下請・警備業認定なし)
という形でB社が現場に警備員を出した場合、
これは B社の無認定営業 に該当します。
同時に、A社も違法行為に関与した元請として行政処分対象になり得ます。
「うちは実際に警備していないから大丈夫」
「紹介しただけ」
という言い訳は通用しません。
警備業法では、**“警備業務を業として行うかどうか”**で判断されるため、
名目が「協力会社」「応援」「外注」でも、実態が警備業務ならアウトです。
これは、元請が警備業認定がない状態で警備業務を請けて、再委託先が警備業認定があるという場合でも無認定営業となります。
再委託は何次請けでも法律上は可能
意外と知られていませんが、
警備業務の再委託自体に「一次まで」「二次まで」という制限はありません。
極端な例ですが、
元請 → 1次 → 2次 → 3次
という多重構造でも、
すべての会社が警備業認定を持っていれば法律上は可能です。
ただし実務的には、
- 指揮命令系統が曖昧になる
- 責任の所在が不明確になる
- クレーム・事故時の対応が泥沼化する
など、トラブルの温床になりやすく、
契約関係や体制の整備が必須となります。
再委託には「取引先の了承」と「重要事項説明書の記載」が必須
ここが実務で最も軽視されがちなポイントです。
① 取引先(発注者)の了承が必要
警備契約は、基本的に
「この会社が警備します」
という人的信頼を前提とした契約です。
そのため、勝手に別会社へ再委託すると、
- 契約違反
- 信義則違反
- 最悪、契約解除・損害賠償
に発展する可能性があります。
実務では必ず、
- 再委託すること
- 再委託先の会社名や住所、代表者名など法令で定められた事項
を発注者に説明し、了承を取ることが必要です。
② 重要事項説明書への記載も必要
警備業法では、契約時に交付する
「重要事項説明書」
に、警備業務の内容・体制を正確に記載する義務があります。
再委託する場合は、
- 実際に警備を行う会社名、住所、代表者名
- 再委託の事実
を明確に記載しなければ虚偽説明になります。
この点は、トラブルや事故が発生した場合に、かなりの頻度でチェックされる実務ポイントです。
元請としての責任は消えない|「下請のせい」は通用しない
再委託した場合でも、
元請の責任は一切軽くなりません。
たとえば、
- 警備員の不祥事
- 無資格者の配置
- 事故・トラブル
が起きた場合、警察の指導は
- 下請だけでなく
- 元請にも同時に入ります
実際の行政処分では、
「下請が勝手にやった」
「うちは知らなかった」
という主張は、取引先を含めて原則通りません。
元請には、
- 適法な業者かの確認義務
- 教育体制の確認
- 業務管理体制の整備
まで含めて実質的管理責任があると考えた方が安全です。
再委託は“使い方を間違えると一発アウト”の分野
警備業務の再委託は、
✔ 法律上は可能
✔ ただし条件が非常に厳しい
✔ 違反すると即行政処分レベル
という、かなりリスクの高い領域です。
特に多い失敗パターンは、
- 「協力会社だから認定いらないと思っていた」
- 「契約書だけ整えれば大丈夫だと思っていた」
- 「重要事項説明書は形だけ」
といったケースで、
後から立入検査などで一気に指導が入る流れです。
行政書士としての実務アドバイス
私は行政書士としてだけでなく、
実際に警備会社を経営してきた立場から言えるのは、
再委託は“制度を理解している会社だけが使うべき手法”
安易に使うと、むしろ経営リスクが跳ね上がります。
当事務所(行政書士事務所RTS)では、
- 再委託スキームの適法チェック
- 契約書・重要事項説明書の整備
- 立入検査対策
- 無認定リスクの事前診断
まで含めて、警備業専門で実務サポートを行っています。
「この再委託、グレーじゃないか?」
「うちの契約書、このままで大丈夫か?」
と少しでも不安がある場合、
問題が起きる前に相談する方が圧倒的に安く済みます。
まとめ|警備業の再委託で押さえるべき4ポイント
最後に要点を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 認定 | 再委託先も必ず警備業認定が必要 |
| 次数 | 何次請けでも法律上は可能 |
| 承諾 | 発注者の了承+重要事項説明書に記載必須 |
| 責任 | 元請の管理責任は消えない |
警備業の再委託は、
**「できるか」ではなく「どうやるか」**がすべてです。
制度を正しく理解したうえで、
リスクをコントロールすることが、
結果的に“強い警備会社”を作る近道になります。
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