
― 2027年を見据えた制度動向と、企業が今できる準備 ―
近年、特定技能制度の拡大により、外国人材の受入れが可能な業種は着実に増えています。
一方で、慢性的な人手不足に直面している警備業界では、業界団体を中心に「特定技能への追加」を求める陳情が続いているものの、2027年に追加見込みとされている分野には、現時点では警備業は含まれていません。
では、警備業はこのまま対象外のままなのでしょうか。
行政書士として制度を見てきた立場、そして実際に警備会社を経営している現場の立場から、今後の動きを冷静に予測してみたいと思います。
なぜ警備業は、いまだ特定技能に含まれていないのか
警備業界の人手不足は、他業種と比べても深刻です。
それにもかかわらず、特定技能の対象になっていない理由は、単なる「人手不足の度合い」だけでは説明できません。
主な背景として、次の点が考えられます。
- 警備業は公安委員会(警察行政)が所管であり、公共性・安全性が極めて高い業種であること
- 警備業法による厳格な身分確認・教育・指揮命令体制が前提となっていること
- 日本語能力が不十分な場合、事故・トラブル時の対応リスクが高いこと
警備会社を経営している立場としても、
「誰でもよいから人を入れたい」とは決して思いません。
安全・品質を確保できる制度設計が前提であることは、業界側も十分理解しています。
2027年追加分野に入らなかったことの意味
2027年に向けて追加が検討されている分野は、比較的
- 作業内容が限定されている
- 技能評価試験を作りやすい
- 公共リスクが相対的に低い
といった特徴を持つ業種が中心です。
警備業が今回入っていないことは、
「警備業が不要と判断された」という意味ではなく、制度設計が追いついていない段階
と捉えるのが実務的な見方でしょう。
今後、警備業が対象になるとすれば「この順番」
警備業が将来的に特定技能に追加されるとすれば、次のような段階を踏む可能性が高いと考えています。
① 全警備業ではなく「業務限定」での議論
いきなり交通誘導・雑踏・施設警備・輸送警備・身辺警備のすべてを解禁する可能性は低く、
- 工事現場やイベントでの補助的な警備業務(※特定技能外国人だけの対応はNGなどの可能性も)
- 空港施設等の外国人が多く利用され、語学対応が求められる可能性が高い警備業務
など、比較的リスクの低い領域からの限定解禁が現実的でしょう。
※業界団体もその部分を解禁するよう陳情をしています。
② 日本語能力要件の引き上げ
警備業務の特性上、
- 日本語能力試験N2相当
- 業務別の日本語・指示理解試験
など、他分野より高い日本語能力要件が設定される可能性は十分にあります。
③ 警備業法との二重チェック体制
特定技能の在留資格要件に加え、
- 教育時間の上乗せ
- 指揮命令者の要件明確化
- 外国人警備員に特化した運用ルール
といった、警備業法側での制度調整とセットでの解禁になる可能性も十分にあり得ると考えられます。
警備会社経営者として、制度解禁に期待している理由
私は行政書士であると同時に、実際に警備会社を経営しています。
その立場から申し上げると、特定技能の解禁は「安価な労働力確保」のためではなく、
- まじめに働き、
- 日本語や業務をきちんと学び、
- 長期的に戦力となってくれる人材
と出会える可能性を広げる制度として、大きな期待を持っています。
現場を知っているからこそ、
「制度が整った形であれば、ぜひ活用したい」
「日本人の警備員とセットで対応することにより、発注先にも要員確保をしやすいメリットがある」
というのが率直な本音です。
企業が「今」やっておくべき現実的な準備
制度が未確定の今だからこそ、警備会社ができる準備があります。
- 外国人雇用を前提とした教育・指揮命令体制の整理
- 現行制度(技人国・留学生アルバイト等)の正確な理解 ※とても大事なポイントで、制度スタートの時に違反をしていたとなれば、受入れ不可となる可能性もあります。
- 制度変更時にすぐ動けるよう、専門家との情報共有
特定技能は、解禁された瞬間に動いた会社が最も有利になります。
行政書士 × 警備会社経営者としての結論
警備業が2027年に特定技能へ追加される可能性は、
正直に言えば、現時点では高いとは言えません。
しかし、
- 業界団体による継続的な陳情
- 他分野での制度運用実績の蓄積
- 警備業界の人手不足の深刻化
これらを踏まえると、
限定的・段階的な解禁として議論が進む余地は十分にある
と考えています。
制度が動いたときに慌てないためにも、
今は「正確な情報を整理し、準備を進める時期」です。
現行制度でも外国人を採用できないということではありません。しかし、制度自体や本質をしっかりと理解していないで採用してしまっているというケースもあります。その場合、警備会社自体及び外国人本人にも多大な影響があります。
現状で本当に大丈夫なのか・・・外国人採用に関するご相談は当事務所までお気軽にお問い合わせください。
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